「業務自動化ツールを入れたいがMakeとZapierのどちらが向くか判断できない」「無料プランで試したいがMakeの実行回数とZapierのZapという単位の違いが分からない」「導入したものの複雑な分岐が組めず結局手作業に戻った」——業務効率化を検討する中小企業からよく届く相談。この記事ではMakeとZapierを機能・料金・使いやすさ・連携数で徹底比較し、自社の自動化したい業務からどちらを選ぶかの判断手順を解説する。読み終えたときには、まず自動化したい業務を1つ選び、月間実行回数を見積もり、無料プランで検証開始できる状態になる。

この記事の結論

MakeとZapierの選び方は「自動化フローの複雑さ」と「月間実行回数」で決まる。単純な2〜3ステップの連携で月間タスクが100件未満ならZapier(無料〜月$29.99(約4,499円))、複雑な分岐・繰り返し・データ変換を含み月間実行が1,000回超ならMake(無料〜月$10.59(約1,641円))が向く。連携できる外部サービスはZapierが7,000超・Makeが1,800超で、まずZapierで対応サービスを確認し、複雑な処理が必要ならMakeを検討する順序が実務的。従業員10名の中小企業では、営業リード転記や請求書発行通知など単純な業務はZapier、複数条件で振り分ける経費申請ワークフローはMakeという使い分けが多い。

MakeとZapierの基本的な違い

MakeとZapierはどちらも「Aで起きたことを引き金にBで処理を実行する」ノーコード自動化ツールだが、設計思想が異なる。Zapierは「Zap」と呼ぶ1本のフロー単位で課金され、シンプルな一直線の連携(トリガー→アクション)に向く。対してMakeは「シナリオ」の中でモジュールを自由に組み合わせ、条件分岐・ループ・データ整形を視覚的に組める。従業員15名のマーケティング会社で「Googleフォームの回答をSlack通知」だけならZapier、「Googleフォームの回答を業種で振り分けて別々のCRMに登録し、営業担当ごとにメール通知」ならMakeが向く。

比較項目ZapierMake
設計思想シンプル一直線フロー複雑分岐・データ整形
連携数(2026年7月時点)7,000超1,800超
UIステップ順の入力式ビジュアルフロー式
課金単位タスク実行数オペレーション数
学習コスト低い(数時間で習得)中程度(数日で習得)

「業務自動化はどれも同じ」と思われがちだが、実際には「単純な連携なのに複雑なMakeを選んで挫折する」「複雑な処理をZapierで無理に組んで課金が跳ね上がる」という失敗が起きやすい。自社が自動化したい業務を紙に書き出し、分岐の有無・データ変換の有無・月間実行回数の3点で仕分けしてからツール選定に入る。

料金プラン比較

MakeとZapierの料金は課金単位が異なるため単純比較が難しく、月間実行回数で試算するのが実務的。ここでは中小企業でよく使われるプランを2026年7月時点の公開情報で比較する。為替は1USD=155円換算。

プランZapierMake備考
無料月100タスク・Zap5本月1,000操作・シナリオ2本Makeの方が実行回数多い
スタンダード$29.99(約4,499円)/月・月750タスク$10.59(約1,641円)/月・月10,000操作単純比較でMakeが安価
プロ$73.50(約11,393円)/月・月2,000タスク$18.82(約2,917円)/月・月10,000操作+高度機能Makeはループ・エラーハンドリング可
チーム$103.50(約16,043円)/月〜$34.12(約5,289円)/月〜ユーザー数増でZapierが割高

単純に価格だけ見ればMakeが安価だが、Zapierは対応サービスが桁違いに多く、SaaSツールを幅広く使う企業ではZapierしか連携できない業務が発生する。判断基準として、まず自動化したい業務で使うSaaSがMakeで連携できるかを確認し、対応していればMake、していなければZapierを選ぶという順序で検討する。特にHubSpot・Salesforce・Slack・Notion・Google Workspaceのような主要SaaSはどちらも対応しているが、ニッチな国産SaaS(freee・マネーフォワード・kintoneの一部機能)はZapier公式連携がなくMakeの汎用HTTP機能で組む必要があるケースもある。

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AIと担当者の役割分担

MakeやZapierで業務自動化を組むと「全部自動化される」というイメージがあるが、実際には人が確認する範囲を残さないと事故が起きる。特に金額計算・顧客連絡・法的判断が絡む工程は必ず担当者が最終確認するフローに組む。従業員25名の建設業で経費申請ワークフローをMakeで組んだ事例では、AI-OCRで領収書を読み取り→仕訳をAIが提案→3万円超は経理担当が承認→承認済みだけfreeeに登録という4段構えで、担当者の確認時間を1件5分から1件1分に短縮している。導入前の業務フロー整理でこの「AIに任せる範囲」と「担当者が確認する範囲」を明文化しておくと、想定通りの効果を継続的に得られる。

工程ツールに任せる担当者が確認判断基準
データ転記◎全自動月次サンプル抽出数値ミスの影響が小さい
顧客通知△下書き提示担当者が確認して送信顧客関係に影響
金額計算△計算のみ担当者が金額承認金銭ミスは重大
法的通知×取り次ぎのみ必ず人間が判断契約・法務リスク

役割分担を組むときのコツは、フローの中に「承認ステップ」を必ず1つ入れること。Zapierなら「Filter by Zapier」で条件分岐、MakeならRouterモジュールで人間承認待ちの分岐を組む。承認はSlackやメール通知で担当者にリンクを送り、クリック1つで承認/差戻しできる形にすると1件1分以内で処理できる。

導入手順の4ステップ

ステップ1:自動化したい業務の棚卸し——現状の業務フローをA4用紙1枚に手書きし、「毎日発生する」「時間がかかる」「単純作業」の3条件で自動化候補を3〜5個選ぶ。各候補の月間実行回数と1件あたりの作業時間を実測し、削減時間を試算する。

ステップ2:ツール選定と無料プラン検証——候補業務で使うSaaSがMake/Zapierのどちらで連携できるかを公式サイトで確認。両方対応していれば、まず学習コストの低いZapierから無料プランでシンプルなフローを組む。複雑な分岐が必要ならMakeでシナリオを組み比べる。

ステップ3:本番フロー構築とパイロット運用——選定したツールで実際のフローを組み、2週間のパイロット運用を実施。この期間は担当者が結果を目視で確認し、エラー発生時のリカバリー手順を文書化する。エラー率が5%を超えたら分岐設計を見直す。

ステップ4:本番運用と月次レビュー——エラー率5%以下に安定したら本番運用へ。月次で実行ログ・エラー履歴・削減時間を集計し、担当者が改善候補を1つ以上あげる運用に落とし込む。3ヶ月目からは追加業務の自動化候補を毎月1つずつ増やす。

失敗パターン3つと回避策

失敗1:無料プランの上限を超えて突然止まる——ZapierもMakeも無料プランは月間実行回数の上限があり、超えた瞬間にフローが止まって業務が滞る。導入時に月間実行回数の想定を1.5倍の余裕を持って見積もり、上限の80%に達したら通知するアラートを組む。特に月末・繁忙期に実行回数が跳ねる業務は要注意で、想定より2倍多いケースもある。

失敗2:複雑なフローをZapierで無理に組んで月額が跳ね上がる——Zapierは1タスク1課金のため、5ステップのフローを月100回動かすと月500タスク相当となり、無料プランの上限をすぐ超える。3ステップ以上の分岐がある業務はMakeで組み直す方が長期的にコストが下がる。導入前にフローのステップ数と月間実行回数から総タスク数を試算し、Zapierの料金プランと比較する運用にする。

失敗3:担当者の確認ステップを飛ばして事故が起きる——顧客への自動メール送信で誤った金額を送ってしまう、二重請求が発生する、といった事故は「確認ステップを省略した」ことが原因の大半。金額・顧客連絡・法的通知が絡むフローには必ず担当者の承認ステップを組み込み、承認前は本番SaaSに書き込まない設計にする。導入時に「事故が起きたときの影響」を業務ごとに評価し、影響が大きい業務ほど確認を厚くする。

よくある質問

Q. MakeとZapierは併用できますか?

A. 併用は可能で、実際に中小企業でも「単純な業務はZapier、複雑な業務はMake」という使い分けをしている事例が多い。ただし、両方の料金と学習コストがかかるため、まず自動化したい業務を1つ選んで片方で試し、後から必要に応じてもう片方を追加する順序が失敗しにくい。両方導入する場合は、担当者を1人決めてフロー管理を集約する運用にする。

Q. 無料プランだけで運用できますか?

A. 月間実行回数が少なく(Zapierなら月100件、Makeなら月1,000操作以内)、シンプルなフロー数本で足りるなら無料プランで運用継続可能。ただし、業務が拡大すると突然上限に達して止まるリスクがあるため、実行回数が上限の70%を超えたら有料プランへの切り替えを検討する。中小企業では月$10.59(約1,641円)〜$29.99(約4,499円)の低価格プランで足りるケースが多い。

Q. プログラミング知識がなくても組めますか?

A. どちらも基本的にはノーコードで、ドラッグ&ドロップやフォーム入力で組める。ただし、複雑な条件分岐やデータ整形を組む場合、Makeでは軽量な関数式(例:{{ formatDate(now; "YYYY-MM-DD") }})の理解が必要になる。Zapierの方が学習コストが低く、非エンジニアの担当者が最初に触るならZapierから入るのが失敗しにくい。

Q. セキュリティやデータ保管地域が心配です

A. ZapierもMakeも米国・欧州のデータセンターを利用しており、日本国内保管はオプションもしくは対応なし。個人情報・機微情報を扱う業務では、データ通過を最小限にする設計(例:氏名・メールのみ通過、住所・電話は通過させない)にする。金融・医療業界で厳しい要件がある場合は、国産のSaaS自動化ツール(アノテF・BizteX cobit等)を検討する。

Q. 導入後のメンテナンス工数はどれくらいですか?

A. フロー1本あたり月10〜30分のログ確認と、月1回のエラー対応が中小企業での標準工数。フロー10本を運用する場合、月2〜5時間のメンテナンス工数を見込む。連携先SaaSのAPI仕様変更で突然フローが止まるケースが年数回発生するため、業務クリティカルなフローは代替手段(手動運用の手順書)も並行して用意する。