「配膳ロボットや自動精算機を入れたいがカタログ型で買えるのか一般型でオーダー開発なのか判断がつかない」「生成AIを事業計画に組み込みたいが省力化として認められる条件が分からない」「GビズIDプライムの発行に時間がかかると聞いたが第7回の締切に間に合うのか」——2024年に新設された中小企業省力化投資補助金は、カタログ注文型と一般型の二枠構成で、AIやIoTの導入に最も使いやすい国の補助金の一つです。ただしカタログ型は事務局に登録された汎用製品しか買えず、生成AIやオーダーメイド開発は一般型に回す設計判断が要ります。加えて2026年3月19日の制度改定で補助上限が引き上げられ、収益納付が撤廃されたことで申請ハードルは下がりましたが、労働生産性年3.0%以上向上の実績報告と賃上げ計画の整合が審査の要になっています。この記事では2026年7月時点の制度概要、カタログ登録の代表AI/IoT製品、一般型で通るAI活用の5類型、業種別7領域の活用パターン、事業計画書の書き方、失敗パターン5つと回避策まで、事業者が翌週から動ける粒度で徹底解説します。IT導入補助金・ものづくり補助金との使い分けはIT導入補助金でAIツールを活用する方法ものづくり補助金AI・DX申請ガイドで別途扱っています。

この記事の結論

  • 省力化投資補助金はカタログ注文型(汎用製品、上限1,500万円)と一般型(オーダーメイド、上限1億円)の二枠で、AI/IoT導入に使える国の補助金として2024年新設・2026年運用中。第7回公募は2026年7月1日〜7月31日17:00締切(中小企業庁公式)。
  • カタログ型はマミヤ・オーピー Operal VMT-700、東芝テック SS-N1C、シチズン CP-Bクイック決済等の事務局登録済み省力化製品しか買えないため、生成AIやオーダーメイド開発は一般型へ。
  • 一般型で通るAI活用は①生成AI ②AI-OCR ③画像解析AI ④AIカメラ ⑤AIエージェント/チャットボットの5類型。いずれも「削減時間の定量化」「省人化工程の明示」「削減時間の再配置設計」が事業計画書の必須要素。
  • 飲食・宿泊・介護・建設・運送・小売・製造の7業種で活用パターンは業種特有。GビズIDプライム取得に2〜3週間要するため公募開始前から手配、交付決定前の発注は補助対象外になる不可逆エラーのため厳禁。
  • 補助率は中小企業1/2・小規模事業者2/3、賃上げ特例で上限額が最大3割引き上げ(公式)。労働生産性の年平均成長率3.0%以上と事業場内最低賃金の引き上げが事業計画期間中の実績要件。

中小企業省力化投資補助金とは(2026年制度概要)

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に直面する中小企業がIoT・ロボット・AI等の設備導入や専用システム構築を行うことで業務プロセスの省力化を図る事業を支援する、中小企業庁および中小企業基盤整備機構(以下、事務局)による国の補助金制度です(中小企業省力化投資補助金 公式サイト)。2024年に新設され、2025年からカタログ注文型と一般型の二枠体制で運用中で、2026年3月19日の制度改定で補助上限額と対象範囲が大幅に見直されました。

2026年の主な改定ポイントは3つ。第一に、カタログ注文型の補助上限が従業員5名以下で200万円から500万円(賃上げ特例時750万円)に引き上げ。第二に、収益納付(補助事業で得た利益の返納義務)が撤廃され、投資回収後のキャッシュフローが読みやすくなりました。第三に、一般型で従業員21名以上の申請者に一般事業主行動計画の公表が要件化。加えて、第7回公募(一般型)は2026年7月1日10:00〜7月31日17:00で受付中、カタログ型は原則2027年3月末まで随時受付という運用スケジュールです(公式)。

他の補助金との棲み分けは明確です。IT導入補助金はSaaSやパッケージ導入向けで年間複数回公募、ものづくり補助金は革新的な設備投資向けで補助上限が枠により異なります。省力化投資補助金は「人手不足解消と省力化」に目的を絞ることで、AI/IoTのカタログ購入から専用システム開発まで幅広くカバーし、賃上げ特例と組み合わせると同一投資でも補助額が引き上がる制度設計になっています。

カタログ注文型と一般型の違い

比較項目カタログ注文型一般型
投資対象事務局登録済みの汎用製品(カタログから選択)個別現場に合わせた設備導入・システム構築(オーダーメイド)
補助上限(5名以下)500万円(賃上げ特例時750万円)750万円(賃上げ特例時1,000万円)
補助上限(101名以上)1,000万円(賃上げ特例時1,500万円)8,000万円(賃上げ特例時1億円)
補助率1/2(統一)中小1/2、小規模2/3(賃上げ時2/3)
対象経費カタログ登録製品の購入費のみ機械装置・システム構築費に加え技術導入費・専門家経費(合計500万円上限)
審査書類審査中心、比較的シンプル事業計画書の定量的省力化効果と再現性を重視
公募原則2027年3月末まで随時受付公募回制(第7回は2026年7月1日〜7月31日)
労働生産性要件年平均3.0%以上向上年平均3.0%以上向上+付加価値額年3.0%成長
賃上げ要件事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上1人当たり給与の年平均1.5%以上成長+事業場内最低賃金+30円以上

実装の判断基準はシンプルに割り切れます。買いたい省力化設備の製品名が明確でカタログに登録されているならカタログ型自社業務に合わせた独自システムや生成AI活用が中心なら一般型という切り分けです。カタログ型は事業計画書の負担が軽く採択後の実装が早い一方で、生成AIやオーダーメイド開発は買えません。一般型は補助上限が最大1億円と大きく生成AIを含めた自由な設計ができますが、事業計画書で「省力化工程の特定」「削減時間の定量化」「削減時間の再配置設計」を要求されるため準備工数が別次元です。カタログ型と一般型は同一事業では併用不可のため、投資対象を洗い出したうえで枠を選択する順序が現実的です。

カタログ登録AI/IoT製品の探し方と代表製品5つ

カタログ注文型で購入できる製品は、事務局が省力化効果を審査したうえで登録した「省力化製品」に限られます。カテゴリは飲食・小売向け(券売機・自動精算機・配膳ロボット等)、搬送・物流自動化(AGV・AMR・自動倉庫等)、製造業向け(産業用ロボット・協働ロボット等)、業務効率化IT・IoT(在庫管理・勤怠管理等)、サービス業向け(受付ロボット・清掃ロボット等)の5系統に大別されます。以下は自動精算機カテゴリの代表登録製品5製品で、いずれも第三者検索サービス「スマート補助金」で確認できます。

製品名提供事業者型番主用途
Operal VMT-700マミヤ・オーピー株式会社VMT-700飲食・小売の自動精算
CP-Bクイック決済システムシチズン・システムズ株式会社CP-B257SA01A15BC-BKキャッシュレス小型決済
フルセルフレジ セルフショット株式会社アルファクス・フード・システムFA-4000WSS/FA-4000BSS飲食フルセルフレジ
SS-N1C キャッシュレスセルフレジ東芝テック株式会社SS-N1Cキャッシュレス専用セルフレジ
マジレジセルフ株式会社日本システムプロジェクトMMA-SEMOOR50cal汎用セルフレジ

探し方は3ステップに整理できます。第一に、公式サイトの製品検索ページで業種・カテゴリ・対応業務プロセスから絞り込みます。第二に、候補製品の販売事業者(登録販売事業者)に問い合わせ、自社の店舗規模・レジ台数・現行POS連携要件と照合します。第三に、販売事業者経由で事務局への申請手続きを進める流れで、販売事業者は制度に精通しているため事業者選定が実質的な補助金採択率を左右します。カタログ製品には配膳ロボット(Servi・BellaBot等)、清掃ロボット(Whiz・Kobo等)、無人搬送車(AGV各社)も含まれており、飲食・宿泊・製造・物流を横断してカバーされています。

一般型で通るAI活用の5類型

一般型でAIを申請する場合、「AIを導入する」ことが目的では審査を通りません。事務局が公表する審査観点は「導入後の再現性」で、削減される工程が特定され、削減時間が数値化され、削減時間の再配置設計まで組み込まれた計画が採択されます。実際の採択事例を分析すると、通るAI活用は以下の5類型に整理できます。

1. 生成AI(資料作成・周辺事務・保守業務の圧縮)

ChatGPT Enterprise・Claude Enterprise・Microsoft 365 Copilotを業務システムに組み込み、営業資料作成・議事録要約・保守マニュアル生成・カスタマーサポートの一次回答等の周辺事務を圧縮する類型です。事業計画書には「営業担当者1人あたり週10時間かかっていた提案書作成が3時間に短縮、営業チーム10名で月280時間削減、その時間を新規顧客訪問に再配置」といった具体的な工程・時間・再配置先を書き込みます。生成AI単体のSaaS購入では通りにくいため、業務システム連携・社内ナレッジRAG構築・プロンプトテンプレート整備を含めたシステム構築費として申請するのが定石です。

2. AI-OCR(帳票の入力・転記・照合自動化)

紙帳票・請求書・注文書・検収書のAI-OCR読み取りと基幹システムへの自動転記で、経理・受注・調達部門の入力工数を削減する類型です。DX Suite(AI inside)・intra-mart Accel Documents・スマートOCR等のAI-OCR製品と、周辺のRPA・ワークフローシステムを組み合わせた導入が典型で、「月間3,000枚の請求書処理で1枚あたり5分かかっていた入力が30秒に短縮、月間225時間削減」といった業務量ベースの計算が事業計画書の説得力を支えます。カタログ登録製品には該当が限定的なため、一般型で申請するケースが多い類型です。

3. 画像解析AI(検査工程の自動化と品質向上)

製造ラインの外観検査・部品識別・寸法測定を画像解析AIで自動化する類型です。国内主要ベンダー(ブレインパッド・PKSHA・LeapMind・ABEJA等)のカスタム開発と、既存の生産管理システム・品質管理システムとの連携を含めた投資となります。事業計画書には「検査工程3名の目視検査を1名+AIカメラ2台構成に移行、月間人件費削減額と検査精度向上による不良品流出低減効果」を金額ベースで記載します。中規模製造業では投資額500万円〜3,000万円レンジが実測値の中央帯です。

4. AIカメラ(監視・点検の張り付き業務削減)

建設現場の安全監視・小売店舗の来店客動線分析・介護施設の見守り・製造ラインの安全帯着用チェック等、監視や点検の張り付き業務をAIカメラで代替する類型です。SafieやVAAK Eye等のクラウド型AIカメラサービスと、施設内カメラ・ネットワーク・監視センター側のダッシュボード構築を含めた設計になります。事業計画書には「夜間巡回警備員1名の常駐時間を月160時間削減、AIカメラ検知と警備員のオンコール体制に移行」といった省人化を数値で示します。

5. AIエージェント/チャットボット(問い合わせ・検索・教育の省力化)

社内問い合わせ対応・カスタマーサポート・営業マニュアル検索・新人教育をAIエージェントとRAG(社内文書検索)で代替する類型です。Dify・LangChain等のフレームワークと社内文書ベクトルストア構築、Slack/Teams連携が典型構成で、「情シスヘルプデスクへの問い合わせ月間400件のうち300件をAIで自動回答、担当者2名の月120時間削減」といった対応件数ベースの計算になります。カタログには一部登録があるものの、社内文書との連携は個別開発が中心のため一般型が選ばれる類型です。

業種別 省力化AI事例7領域

業種代表AI/IoT製品省力化工程推奨枠
飲食業券売機・配膳ロボット・自動精算機・AIオーダーシステム受付・配膳・会計を無人化カタログ型(汎用製品充実)
宿泊業自動チェックイン機・清掃ロボット・AIコンシェルジュフロント・清掃・多言語問い合わせ対応カタログ型+一般型(コンシェルジュ)
介護業見守りAIセンサー・AI介護記録・シフトAI夜間見守り・記録作成・シフト作成一般型(専用システム開発)
建設業AIカメラ安全監視・AI-OCR積算・ドローン測量AI安全巡回・積算・測量一般型(現場カスタム)
運送業AI配車・AI-OCR運行日報・AIドラレコ配車計画・日報・運転診断一般型(業務システム連携)
小売業自動精算機・AI発注・AI来店分析・AI棚割会計・発注・売場最適化カタログ型(精算機)+一般型(発注)
製造業協働ロボット・画像解析AI検査・AI予知保全組立・検査・設備保全カタログ型(ロボット)+一般型(検査AI)

飲食業

飲食業はカタログ型の恩恵が最も大きい業種です。券売機と配膳ロボットは事務局登録製品が豊富で、従業員10名の街場ラーメン店ならセルフオーダー端末+配膳ロボット2台+自動精算機の一括導入で投資額400〜600万円レンジ、補助上限500万円(賃上げ特例時750万円)を活用しホール人員を1〜2名圧縮する導入モデルが典型です。オーダーミスと会計時間の同時削減で客単価維持と客数増を両立でき、削減した人件費で厨房調理人員の時給を引き上げる賃上げ計画と組み合わせる設計がしやすい業種です。

介護業

介護業は生成AIやAIセンサーの一般型申請が主軸になります。夜間見守りセンサーで職員1名の巡回時間を月80時間削減、AI介護記録で1件20分かかっていた記録が5分に短縮といった省力化パターンが実測ベースで見えており、削減時間を利用者への直接ケアに再配置する事業計画で通しやすい業種です。カタログ登録の見守りセンサーは種類が限定的なため、施設固有の間取り・利用者数・記録システムに合わせたオーダー導入は一般型で申請する構造になります。

省力化投資補助金×AI導入をご相談ください

「カタログ型と一般型のどちらで申請すべきか」「事業計画書の定量的省力化効果の書き方」「GビズIDプライムの取得手順」「カタログ登録販売事業者の選定」といった相談も、業種・従業員数・現行業務プロセスをお聞かせいただければ具体的にご提案します。お気軽にお問い合わせください。

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主要ベンダー・SIer 6社と価格帯

ベンダー/SIer得意領域投資額レンジ特徴
マミヤ・オーピー自動精算機(飲食・小売)150〜300万円/台Operalシリーズ、カタログ登録済
東芝テックセルフレジ・POS・キャッシュレス200〜500万円/台大手シェア、複数モデルがカタログ登録
ソフトバンクロボティクス配膳ロボット(Servi)・清掃ロボット(Whiz)月額サブスク3〜10万円/台カタログ登録、月額課金モデル
AI inside(DX Suite)AI-OCR・文書処理年額300〜1,500万円レンジ一般型で経理・受注DXを設計
PKSHA Technology画像解析AI・NLP・音声認識PoC 300万円〜、本番 1,000万円〜一般型のオーダー開発の代表SIer
ブレインパッド製造業画像検査AI・データ分析500〜3,000万円/案件製造業カスタム、一般型で活用

価格帯は導入規模・カスタム範囲・保守年数で大きく変動するため、上表は実測ベースの中央帯です。カタログ登録製品は事務局が事前審査した価格が製品ごとに公表されており、販売事業者に問い合わせれば正確な購入価格と補助対象額を確認できます。一般型で申請するSIer開発案件は、要件定義・PoC・本番実装・保守の各フェーズで見積もりを分けて取得し、事業計画書に段階的なマイルストーンとして記載するのが審査通過の定石です。料金は変動するため契約前に必ず各社公式サイトまたは販売事業者経由で最新条件を確認してください。

AIと従業員の役割分担・省人化ロードマップ

作業担当設計上の根拠
定型帳票のOCR・データ入力AI(自動)+担当者が例外処理入力工数削減、例外は人が判断
配膳・清掃・搬送等の物理作業ロボット+従業員が接客に集中物理省人化、対人価値創出は人へ
画像検査の一次判定AI+検査員が最終判定スクリーニング自動化、判定責任は人
問い合わせ一次対応AIチャットボット+人がエスカレーション定型FAQは自動、複雑案件は人
賃上げ計画策定・進捗管理経営者(人)事業計画期間中の実績責任
労働生産性の測定・報告担当者+AIによる集計付加価値額・従業員数の月次追跡
補助事業の交付申請・実績報告担当者(人)+事務局制度上のオーナーシップは事業者

省人化ロードマップの設計原則は、「AIが工程を代替し、人は対人価値創出と最終判断に集中する」二層構造です。事業計画書には削減した労働時間の再配置先を必ず書き込みます。単に人員を減らす計画では賃上げ要件と矛盾するため通りません。営業訪問件数増加・新商品開発・顧客対応品質向上といった付加価値創出への再配置が組み込まれると、労働生産性向上と賃上げ要件が同時に成立する事業計画になります。

規模別 導入モデル(小規模/中規模/中堅)

規模枠選択投資額帯典型構成
小規模(従業員5名以下)カタログ注文型200〜500万円券売機+自動精算機、または配膳ロボット2台
中規模(従業員20名程度)カタログ型+一般型併走800〜1,500万円カタログ製品+AI-OCR/生成AIのシステム構築
中堅(従業員100名超)一般型主軸3,000万円〜1億円基幹連携のAI-OCR・画像解析AI・AIエージェント統合構築

小規模(5名以下)——賃上げ特例と組み合わせるとカタログ注文型で750万円までが補助対象。まず1製品カテゴリ(自動精算機か配膳ロボット)で採択実績を作り、次回公募で範囲を広げる二段構えが現実的です。事業計画書の負担が最も軽い枠のため、初回申請の入口として推奨できます。

中規模(20名程度)——カタログ型で汎用製品を導入しつつ、独自業務のAI化を一般型で並走させる二枠設計が投資対効果を最大化します。カタログ型で目に見える省人化の初期成果を出し、一般型で基幹業務のAI化に投資する順序が、社内合意形成と補助金の両面で機能します。

中堅(100名超)——一般型の上限8,000万円(賃上げ特例1億円)を活用し、AI-OCR・画像解析AI・AIエージェントを基幹システム連携込みで構築します。事業計画期間中の労働生産性年3.0%以上、給与年1.5%以上、事業場内最低賃金+30円以上の実績要件が重くなるため、投資規模に見合うガバナンスと計測体制の準備が不可欠です。

事務局への申請フロー・審査項目

申請フローは6段階に整理できます。事前準備段階として、GビズIDプライムアカウントの取得(発行に2〜3週間)、事業計画書の骨子作成、販売事業者(カタログ型)またはSIer(一般型)との事前相談を並走させます。GビズIDプライムがない状態では申請自体ができないため、公募開始前から手続きを完了させることが実質的な必須条件です。

申請段階では、電子申請システムで事業計画書・見積書・決算書・従業員数証明を添付します。カタログ型は書類審査中心で3〜4ヶ月で採択通知、一般型は事業計画書の定量的省力化効果と再現性を重視した審査で公募締切から3〜4ヶ月後に採択発表という運用スケジュールです。第4回公募での採択率は約69.3%と補助金としては比較的高水準ですが、これは事業計画書の質が確保された申請が通る前提の数字です(補助金・資金調達ガイド 記事より)。

採択通知後、必ず交付決定書の到着を待ってから発注・契約を行います。交付決定前に発注した経費は補助対象外になる不可逆エラーで、事業計画自体の見直しが必要になる致命傷です。交付決定後、12ヶ月以内に導入・支払い・実績報告を完了させ、その後3〜5年間の効果報告と労働生産性・賃上げ実績のモニタリングが続きます。事業計画期間中に賃上げ要件を達成できない場合、加算分の補助金返還や交付決定取消のリスクがあります。

失敗パターン5つと回避策

失敗1:カタログ登録製品でない設備をカタログ型で申請してしまう——「配膳ロボットならどれでもカタログ型」という誤解で、事務局登録がない製品を申請すると審査で除外されます。回避策は、公式サイトの製品検索で型番レベルで登録確認し、販売事業者に「補助事業者コード」の有無を書面で確認することです。カタログ登録がない場合は一般型に切り替えるかカタログ登録済み類似製品に変更します。

失敗2:省力化効果が定性的で数字未達——「業務が効率化される」「便利になる」といった定性的な事業計画書は一般型審査で採択されません。回避策は、削減工程を「受領→転記→照合→登録→保管」のように特定し、「月○件×1件○分=月○時間削減」と業務量×単位時間で数値化し、削減時間の再配置先(営業訪問○件増、新商品開発工数○時間確保等)まで書き込むことです。事業計画書の骨子段階で数字が入らなければ申請を延期して業務実測から始める判断が現実的です。

失敗3:事業計画期間中の賃上げ計画未達——賃上げ特例で上限額を引き上げた申請が、期間中に給与年1.5%成長や事業場内最低賃金+30円を達成できなかった場合、加算分の補助金返還義務が発生します。回避策は、賃上げ計画を採択時点の景況感だけで組まず、原材料高騰・売上減リスクを織り込んだ現実的な数字にすることと、労働生産性向上でキャッシュフローを先行して作る事業設計です。

失敗4:GビズIDプライム未取得のまま公募締切前に慌てて申請——GビズIDプライムの発行には2〜3週間かかるため、公募開始と同時に手続きを始めても間に合わないケースが頻発します。回避策は、公募情報の初報が出た段階でGビズIDプライムの取得手続きを開始することです。既に取得済みでも代表者変更等で失効している場合があるため、手元のアカウントの有効性を先に確認します。

失敗5:交付決定前に発注・契約してしまう——採択通知と交付決定を混同し、採択後すぐに販売事業者に発注してしまうと、その経費は補助対象外になります。カタログ型・一般型ともに、交付決定書の日付以降に契約・発注・支払いを行うルールが厳守事項です。回避策は、販売事業者との事前打ち合わせで「交付決定書到着後の契約締結」を明記した仮契約に留め、交付決定日以降に正式契約に切り替える運用にすることです。

よくある質問

Q1. 中小企業省力化投資補助金と、IT導入補助金・ものづくり補助金は併用できますか

同一の設備・システムに対して複数の補助金を重複して申請することはできません。ただし別の設備・別の事業年度であれば、省力化投資補助金でカタログ製品、IT導入補助金でSaaS、ものづくり補助金で新製品開発設備、と目的を分けて活用する事業者は多く存在します。省力化投資補助金は人手不足解消と省力化に目的を絞ることで、AI/IoTの汎用製品からオーダーメイド開発までカバーする位置づけです。IT導入補助金の詳細はIT導入補助金でAIツールを活用する方法を参照してください。

Q2. カタログ注文型と一般型はどちらが採択されやすいですか

カタログ注文型は事務局が事前審査した製品を選ぶ書類審査中心の枠のため、要件を満たせば比較的通りやすい設計です。一般型は事業計画書の定量的省力化効果と再現性を重視した審査で、第4回公募で採択率約69.3%と補助金としては比較的高水準ですが、事業計画書の質が採否を分けます。「カタログ製品で足りるならカタログ型、独自開発が必要なら一般型」という投資対象ドリブンの選択が実装上の正解です。

Q3. 生成AIの導入は省力化投資補助金の対象になりますか

生成AI単体のSaaS購入では通りにくいですが、業務システム連携・社内文書RAG構築・プロンプトテンプレート整備を含めたシステム構築費として一般型で申請すれば対象になり得ます。事務局は「一般型 生成AIを活用した事業計画例集」を公表しており、営業資料作成・議事録要約・カスタマーサポート一次回答等の類型が採択実績として挙がっています。ポイントは「削減工程の特定・時間の定量化・削減時間の再配置設計」を事業計画書に書き込むことです。

Q4. GビズIDプライムの取得にどれくらい時間がかかりますか

公式には2〜3週間程度で発行されますが、書類不備や繁忙期には1ヶ月以上かかるケースもあります。省力化投資補助金の申請にはGビズIDプライムが必須で、公募開始と同時に取得手続きを始めても第7回公募(2026年7月1日〜7月31日締切)に間に合わない可能性があるため、公募情報の初報段階で手続きを開始してください。既取得の事業者でも代表者変更等で失効している場合があるため、有効性を先に確認します。

Q5. 賃上げ計画を達成できなかった場合はどうなりますか

賃上げ特例で上限額を引き上げた申請が期間中に給与年1.5%成長や事業場内最低賃金+30円を達成できなかった場合、加算分の補助金返還義務が発生します。労働生産性向上目標(年3.0%以上)の未達だけでは直ちに返還にはなりませんが、故意・過失がある場合は返還の可能性があります(公式FAQ)。賃上げ計画は景況感だけでなく原材料高騰・売上減リスクを織り込んで現実的に組む設計が安全です。

Q6. 交付決定前に発注してしまった経費は救済されますか

救済されません。交付決定書の日付以降に契約・発注・支払いを行うルールが厳守事項で、交付決定前の経費は補助対象外になる不可逆エラーです。販売事業者との事前打ち合わせは仮契約に留め、交付決定書到着後に正式契約に切り替える運用が事業者側の実装ルールです。事業計画書の見積もりに含まれていた製品でも、交付決定前に発注したら対象外という運用は例外がありません。

Q7. カタログ登録製品はどこで確認できますか

中小企業省力化投資補助金の公式サイト(shoryokuka.smrj.go.jp)の製品検索ページで、業種・カテゴリ・対応業務プロセスから絞り込み検索できます。事務局が省力化効果を審査したうえで登録された製品のみが表示され、型番と販売事業者名が確認できます。第三者検索サービスとして「スマート補助金」等も参考になりますが、最終確認は必ず公式サイトで行ってください。カタログ登録製品は継続的に追加されており、2026年3月19日改定でカテゴリも拡張されています。